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日本板硝子2023年度決算

2023.05.29

 日本板硝子㈱は、2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)決算を発表した。
 連結の売上高は7635億2100万円(前年同期比27.1%増)、営業利益348億1200万円(同74.2%増)、税引前損失219億3300万円、当期損失310億1700万円、親会社の所有者に帰属する当期損失337億6100万円となった。
 個別の売上高は966億9500万円(前年同期比9.5%)、営業利益5億900万円、経常利益123億4900万円、当期純利益133億3100万円(同716.4%増)。
 また、オランダにおけるジョイント・ベンチャーのSP Glass Holdings BV社が所有するロシア子会社の売却について合意したことを発表。ただし、現時点では法的手続き完了に必要な規制当局の承認が得られていない状態で、今後業績への影響や開示すべき事項が発生次第、速やかに開示致するとしている。
 セグメント別の概況は次の通り。
 ○建築用ガラス事業
 売上高は3659億4700万円(前連結会計年度は2818億1600万円)、営業利益は335億5700万円(同281億3000万円)。となり、販売価格の改善及び円安の影響を受け、売上高・営業利益ともに前年度から増加した。
 ○自動車用ガラス事業
 売上高は3546億9300万円(前連結会計年度は2762億4600万円)、営業利益は40億5200万円(同79億800万円の営業損失)となった。営業利益が当第4四半期においてさらに改善したことによるもので、販売数量は引き続き徐々に増加するとともに取引先に対する販売価格上昇も合意に達し、高騰した投入コストを相殺した。
 ○高機能ガラス事業
 売上高は387億5400万円(前連結会計年度は397億7000万円)、営業利益は87億3300万円(同99億700万円)となった。売上高・営業利益は前年度にバッテリーセパレーター事業を譲渡したためわずかに減少。バッテリーセパレーター事業譲渡による売上高・営業利益への影響は、存続している事業の好調な市場環境により概ね相殺されたが、下半期には新型コロナウイルスに関連したロックダウンと景気減速の影響を受けた。ファインガラス事業は、景気減速の影響を一部受けたものの、続的なコスト削減による事業基盤の強化により、業績は引き続き安定。情報通信デバイス事業は、取引先における半導体等部品不足の影響から徐々に回復したため売上高は安定したが、プリンター用レンズの需要は北米や欧州でのインフレの影響によりわずかに減少した。エンジンのタイミングベルト用グラスコードの潜在的需要自体は安定しているものの、販売数量は引き続き取引先におけるサプライチェーンの問題による影響を受けた。メタシャインの売上高は、自動車塗料及び化粧品向けでわずかに改善した。
 なお、2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の通期連結業績予想は、売上収益7600億円(前年同期比0.5%減)、営業利益300億円(同13.8%減)、税引前利益160億円、当期利益90億円、親会社の所有者に帰属する当期利益70億円を見込んでいる。
 決算に関する主な質問(抜粋)は次の通り。
 Q1 2023年3月期の通期営業利益は業績予想から大きく上振れたが、主な要因は?
 A1 主に自動車用ガラス事業の改善と燃料価格の低下によるもの。下半期、特に第4四半期においては半導体不足の影響が徐々に緩和され販売数量が増加し、価格改善交渉による販売価格の改善も期末にかけて進展した。また、急騰していた欧州の天然ガス価格がやや落ち着いたことも要因となった。
 Q2 2024年3月期では、事業部ごとにそれぞれどのような想定をしているか教えて欲しい。
 A2 建築用ガラス事業については2023年3月期ほどではないが比較的堅調に推移し、また太陽電池パネル用ガラスは販売数量増加を見込んでいる。自動車用ガラス事業も販売数量改善を見込んでいる。高機能ガラス事業については、IT市場の減速を受け特に上半期は軟調に推移すると見ている。
 Q3 太陽電池パネル用ガラスにおいて、最大の顧客であるファーストソーラー社が米国で能力増強を検討中ということだが、どのように対応していくのか?
 A3 対応については最終決定はなされていないが、既存の設備を転換するなど投資に対する効果が大きくなることを基本方針に対応を検討している。
 Q4 2024年3月期において、ファーストソーラー社は増産を計画しているようだが太陽電池パネル用ガラスは堅調に推移する見込みか?
 A4 太陽電池パネル用ガラスの販売数量は増加を見込んでいる。また、2024年3月期第3四半期にはマレーシアのソーラー設備が稼働を開始し、ファーストソーラー社の増産計画に対応する。

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