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第26回板ガラスフォーラム開催

2024.06.17

 板ガラス業界7団体[全国板硝子商工協同組合連合会、全国板硝子工事協同組合連合会、全国板硝子卸商業組合連合会、全日本鏡連合会、全国安全硝子工業会、全国複層硝子工業会、(一社)板硝子協会]は6月7日(金)、品川プリンスホテル・アネックスタワー・プリンスホール(東京都品川区)で「第26回板ガラスフォーラム」を共催した。
 今年のテーマは「『カーボンニュートラルの実現とSDGs社会に貢献し存続する板ガラスへ』~変革の可能性とチャレンジ~」と題し、全国から約400人が参加した。
 午後2時に始まったフォーラムは、主催者を代表して板硝子協会の島村琢哉会長が参加者へのお礼と開会のあいさつ(要約)を、次のように述べた。
 「板ガラス関連産業は、今後も省エネと健康、環境に配慮した建築物に寄与する、高性能エコガラスの普及促進に努めてまいります。加えて防災安全合わせガラスの認知度向上と、普及に向けた活動にも力を入れて参ります。社会に必要不可欠な素材として、サーキュラーエコノミー対応に果敢に挑戦していきたいと思います」
 次に、第1部の講演パートでは、初めに東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻の清家剛教授・博士が、「板ガラスのリサイクル―EUの先進事例から日本の今後を考える―と題した講演を行った。講演は、①リサイクルで考えること、②欧州ガラスびんリサイクルに学ぶ、③EUの板ガラスリサイクル、④まとめの4パートに分かれ、製造エネルギーの削減など板ガラスリサイクルのメリットや、欧州におけるガラスびんや板ガラスリサイクルの実情を説明した、その上で、〇どのようなリサイクルシステムを構築するのか、〇分別、再資源化のための新しい技術開発、〇新しい職種、役割の創出、〇自主的な取り組みの4点を講演のまとめとして提案した。
 続いて経済産業省産業技術環境局資源循環経済課課長補佐(総括)の吉川泰弘氏が、「GX時代における循環経済(サーキュラーエコノミー)について」と題して、また環境省環境再生・資源循環局循環型社会促進室長・リサイクル推進室長の近藤亮太氏は、「循環経済の移行に向けた施策の最新の動向」と題し、それぞれ約20分間講演した。
 第1部の最後は、意見交換セッションとして、板硝子協会特任理事の伊東弘之氏の司会で、清家教授と業界代表の意見交換が行われた。清家教授と、業界代表として、積水ハウス㈱ESG経営推進本部環境推進部スペシャリストの村井孝嗣氏、全国板カレットリサイクル協議会会長の安藤登康氏、全国板硝子卸商業組合連合会会長の田中廣氏、AGC㈱建築ガラスアジアカンパニー持続的経営基盤構築グループリーダーの長尾祥浩氏の5名が登壇し、ガラスリサイクルについてのディスカッションを行った。
 AGCの長尾氏と積水ハウスの村井氏は、資料を投影しながら現状の取組みなどを解説。流通業界を代表して田中会長もリサイクルに向けた取組みが始まっている旨を説明した。また、安藤会長は、リサイクルという言葉がない時代からのカレット回収の歴史と、業界の取組みについてコメントし、高付加価値なガラスリサイクルができるのではないかとの見解を述べた。積水ハウスの村井氏も、投影資料を基に同社グループが進めている施工現場ゼロエミッションの歩みや資源循環センターについて話した。最後に、清家教授がガラスの回収方法、コストや不純物の混入などが問題と指摘した上で、ガラスだけでなく窓で回収するといった方法など、新たな仕組みや考え方があることなどを指摘し意見交換は終了、一旦休憩に入った。
 休憩後は、第2部トークセッションに移った。「若者たちの仕事観とガラス業界の可能性」をテーマに、小樽商科大学大学院商学研究科准教授の泉貴嗣氏、桜美林大学健康福祉学群福祉専修の橋本理沙さん、NPO法人SET理事長の三井俊介氏、㈱山田商店代表取締役社長の山田圭一氏、㈱クリア取締役の林則子氏、OOKABE GLASS㈱代表取締役の大壁勝洋氏と、司会進行のマテックス㈱代表取締役社長の松本浩志氏の7名が登壇した。
 司会の松本氏は、「会場を大きな居酒屋だと思って、そうした雰囲気の中で進めさせていただきます」とざっくばらんな空気を作りながらセッションを進行していった。
 登壇者の中で、現役大学生の橋本さんは、友人50人に、仕事に求めることのアンケートを取り、その中の「やりがい」について、試行錯誤の中で成功の手ごたえや(自身の)成長が感じられる環境で仕事をしたいとの思いを持つ人が多いと話した。
 また、大壁氏は自社の状況と取り組みを紹介しながら、ガラス産業はウェルビーイング産業になり得るとして、今後は地域や人々の生活をよくしていく事が使命になるとの考えを明かした。
 これらの意見を受けて、松本氏は若い人たちの仕事観や現状のギャップを埋めるための努力の方向性が共有できたと思いますとまとめて、トークセッションを終えた。
 その後、会場を隣室に移して合同懇親パーティーが行われた。
 主催者を代表して板硝子協会の深川祐一専務理事、来賓を代表して経済産業省製造産業局素材産業課の土屋博史課長がそれぞれあいさつを行い、乾杯の音頭を全国板硝子卸商業組合連合会の田中廣会長がとり、懇親会は華々しく幕を開けた。
 懇親会会場には、各地から集まった関係者は、思い思いのテーブルで旧交を温め、情報交換を行うなど和やかな雰囲気に包まれていた。
 宴もたけなわとなったところで、全国板硝子工事協同組合連合会の木村俊一会長が中締めのあいさつをして、7時20分に閉会した。

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