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価格改訂についてセントラル硝子川北硝子販売部長に聞く

2022.08.29

 8月1・8日合併号の1面でも紹介している通り、セントラル硝子㈱(本社=東京都、清水正社長)は、フロート板ガラス、型板ガラス及び網入型板ガラスの価格を35~40%、網入磨板ガラスは約30%、鏡製品は15~20%、加工ガラス製品(建装商品含む)は25~30%、10月1日納品分より引き上げると発表した。同社は昨年8月にも価格改定を発表しており、昨年に続き2年連続の改定となる。これで、国内板ガラスメーカー3社の価格改定が出そろった。先日、同社に取材をお願いし、同社硝子販売部長・川北泰三氏にご登場していただき、今回の価格改定についてお話を伺った。

 

――まず、昨年8月に発表した価格改定については、現在、どうなっているのでしょうか。

川北 昨年の価格改定については、当社の置かれていた状況も含め、ご理解をいただけたものと思っており、既に改定どおり実施しております。

 

――昨年に引き続き2年連続となりました。なぜこのような事態に?

川北 昨年8月は「国内建築ガラス事業の構造改革について」にあるように、型板窯、堺工場のフロート窯を生産休止、販売体制の縮小、建築加工ガラスの生産体制の集約など構造改革を進めましたが、同時に建築ガラス事業を取り巻く環境が厳しくなり、自助努力だけではなんともしがたいということで価格改定をお願いしました。ところが、その後ロシアによるウクライナ侵攻問題や原油、珪砂、ソーダ灰など原燃料の高騰に円安が重なり、さらには合わせガラスに使用する中間膜や複層ガラスのスペーサーなどの副資材、電気代とありとあらゆるものが値上がりしています。前回の価格改定だけでは、今回のコスト上昇は吸収しきれず、誠に申し訳ありませんが、再度お願いする形となりました。

 

――今回の値上げ幅は過去の数字と比較してもインパクトの強い数字となっています。なぜこのような数字になったのでしょうか。一部流通の方からは、輸入ガラスのアップ率に合わせたのではないかという声も聞きます。

川北 輸入ガラスのアップ率に合せたということは無く、生産にかかっているコストが上昇していることによるものです。先ほどもお話しましたが、それだけ原燃料や副資材等が大幅に高騰しており、当社におけるコスト削減等の自助努力だけでは全てを吸収することは難しく、価格改定をお願いすることとなりました。

 

――大口需要家への改定も同時に進行しているのですか。

川北 もちろん流通店さんや工事店さんだけにお願いするものではありません。大手住設メーカー等の大口需要家に対しても同様にお願いしています。

 

――秋口にはガラスが不足するのではないかという話も噂されています。供給面は大丈夫ですか?

川北 協力会社とも相談しながら、加工ガラスの生産は進めています。一部商品については従前の納期より日にちをいただいている状況ですが、納期改善に加え、ご発注時にお約束させていただいた納期については遵守できるよう体制を整備しています。

 

――今回の値上げが認められれば一段落となるのでしょうか。

川北 先のことは不明ですが、原燃料のコストアップや円安もこれ以上進まなければ、大丈夫かと思います。ただし、これから先については、カーボンニュートラルに向けた規制への対応、人件費の上昇など、様々なコスト増加リスクがあるものと考えております。

 

――今回の改定は値上げ幅が大きく、価格を転嫁できないと倒産する流通店や工事店が続出するのではないかと心配しています。メーカーさんには流通店や工事店がゼネコンや工務店等外部の業界に対して価格転嫁しやすいよう、ガラス業界全体のことを考えて行動していただきたいと思います。ありがとうございました。

 

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