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令和5年度ガラス施工技能検定結果

2024.04.01

令和5年度 後期ガラス施工技能検定合格者数(本紙調べ)
 令和5年度後期ガラス施工技能検定結果が、3月8日(金)に46都道府県の職業能力開発協会から、22日(金)には、石川県職業能力開発協会から発表された。石川県は、令和6年能登半島地震の影響を受けて、発表日を2週間延期していた。
 弊紙では、47都道府県の職業能力開発協会に取材を行い、その回答をまとめている。
 令和5年度の結果は、1級受検者が176人[前年206人]で、合格者は82人[同106人]、合格率は46.6%[同51.5%]。2級受検者は96人[同97人]で、合格者は34人[同55人]、合格率は35.4%[同56.7%]となっている。この中で、福島県と神奈川県からは学科のみ開催との回答があった。また、4年連続で2級に2人の女性受検者(山形県)があったが、残念ながら今回は不合格となっている。
 総受検者数は、272人で、前年の303人から31人減少、総合格者数は116人で、前年の161人から45人減少した。全体の合格率は42.6%で、前年の53.1%から10.5ポイント低下し、前年比を大きく下回る結果となった。
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 1級の受検者が2ケタの所は4都県で、前年から3府県減少。受検者数が最も多かったのは、東京都の16人、次いで愛知県の15人。なお、総受検者数では、愛知県が25人で3年連続の最多受検者数、次いで東京都の21人。受検者数が20人を超えたのは、この2都県のみだった。
 また、受検者数が1名のみの県は福島県、栃木県、神奈川県の3県。このうち福島県と神奈川県は、学科試験のみの開催だったと報告されている。
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 1級合格率100%は、福井県(2人)のみ。[前年は宮城県(1人)と石川県(2人)の2県]。2級合格率100%は、北海道(4人)、富山県(1人)、石川県(1人)、京都府(4人)、岡山県(1人)の5道府県[前年は新潟県(1人)、富山県(1人)、石川県(1人)、京都府(3人)、島根県(2人)、佐賀県(7人)の6府県]となっている。
 なお、1級・2級を合わせた全受検者が合格した都道府県は、今回は無かった[前年は石川県のみ]。合格者0人は秋田県(1級・2級とも2人)、福島県(1級学科のみ1人)、栃木県(1級1人)、神奈川県(1級学科のみ1人)、の4県[前年は岩手県、秋田県、山形県、神奈川県、山口県、愛媛県の6県]だった。
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 職業能力開発協会からの回答でガラス施工技能検定試験が未実施との回答があった県は、岩手県、千葉県、山梨県、岐阜県、静岡県、三重県、奈良県、徳島県、香川県、長崎県の10県[前年は千葉県、山梨県、岐阜県、静岡県、三重県、滋賀県、奈良県、徳島県、香川県、長崎県、大分県の11県]で、前年から1県減少した。この中で、岐阜県は11年連続、山梨県は12年連続、香川県は13年連続して、検定試験を実施していない。検定試験未実施の県の内、近隣県への越境受検については、岐阜県の2級受検者1人と、三重県の1級受検者3人が、それぞれ愛知県で受検していることが確認されている。
 静岡県については、非公示との回答だったが、その理由について「平成26年以降は業界団体の意向により非公示、令和3年実施団体解散」との記載があったことから、検定試験が実施できない状態にあると思われる。
 現在、全国板硝子商工協同組合連合会を脱退・休会している県は、福島県、茨城県、千葉県、山梨県、静岡県、三重県、滋賀県、鳥取県、山口県、徳島県、香川県、高知県、長崎県、宮崎県の14県で、多くが検定未実施県と重なっている。これらの県では、検定に対する関心の低下や、受検に向けた体制づくりが困難になっていることが懸念される。また、静岡県は未実施の理由を「実施団体解散のため」と説明している。組合不在の県については、その近隣の都道府県で受検が出来るようなサポート体制を構築しなければ、業界はさらに先細っていくのではないだろうか。
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 今回の検定合格率は、1級、2級とも前年を下回った。1級の合格率は再び50%台を割り込み、2級に至っては、35%台という残念な結果となっている。受検者数も、1級は前年比30人減少、2級は同1人減少した。全受検者数では、前年比で約10%減少した。
 建築業界全体で人手不足が叫ばれる中、ガラス業界に入る人材が減少していることが、検定受験者減少の一因であることは間違いない。新しい人材を業界に呼び込むためにも、資格取得の支援を厚くして、ガラス施工技能士資格や登録硝子工事基幹技能者を育成するようなシステムの構築を考える必要があるだろう。
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 弊紙では、毎年女性技能士増加の重要性を指摘し、女性の受検者・合格者を別途集計している。今年は山形県で2人が2級を受検者したが、残念ながら不合格となった。建設業界全体で、女性の就業者を増やす取り組みを進めている中で、女性受検者が増えることは良い流れだと思われる。
 しかし、今回の調査では、熊本県から女性受検者の数は不明との回答が寄せられた。同県は前年も女性受検者数を非公表としており、理由を性的マイノリティへ配慮し、受験票の性別記載を廃止したと説明している。昨年の岡山県も、非公表との回答だった。
 内閣府男女共同参画局ワーキンググループの取りまとめ(要約)においても、「男女別のデータを確実に取得することが重要。性別欄の有無に関する拙速な対応は慎むべきと考える」とする一方、「性別欄が存在することでハラスメントや差別に通じる困難に直面する人たちの存在を理解し、配慮することも必要」としている。
 本統計も含め、業界としてジェンダー多様性に対する取り組みを進めることも重要ではないだろうか。こうした取り組みを進めていることをアピールすることで、新たな人材を業界に招き入れるきっかけに出来るかもしれない。

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