他団体との連携を図りたい
2022.11.07
一般社団法人住宅開口部グリーン化推進協議会(松本浩志会長)は10月27日、東京都中央区立日本橋公会堂で建材新聞協会の合同取材に応じ、①会長就任にあたって②急な設立について③建設・建材の他団体との連携について④会員の増強などについて語った。同協議会の山岸史成事務局長、永倉史晴事務局次長が同席した。
会長就任にあたって
ガラス・サッシで窓業界が形成されているがガラスとサッシは歴史的な背景や消費者の認識は全く違うと、長年流通業に携わっていて感じることである。サッシもガラスも住宅開口部に関わることであり、窓という角度から社会に訴えねばならないと思っている。そんな中、国の政策としても住宅開口部に力を入れるようになった。省エネルギーを前面に推し出していくいく必要がある。
メーカー、卸・代理店、ビルダー、不動産業と建築に関わる業種は多様だ。それぞれの段階で役割を担っている。卸・販売店などの中間流通業は多数の企業がある。その中間の事業者が建物・新築メーンからリフォームにシフトしている。更に、事業者、エンドユーザーもニーズが多様化している。
この複雑なニーズに対応できるのかどうか。今後の課題となっている。住宅開口部は売り切りの商品ではなく長くユーザーと付き合う商品でもあり、中間流通業の役割は多い。国がカーボンゼロを目指すには不可欠な部分である。
当協議会は参入を検討する業者にとって、メリット・デメリットはあるだろう。
設立検討の時期
設立を検討しはじめたのは今年、2022年5月だ。代理店会で早急に短期間に設立したいと話した。
2050年カーボンニュートラルの中間地点が2030年。それまでに住宅開口部の省エネを実現するには時間がない。一刻も早く設立する必要があった。
参加を検討する業者からは公共性や公平性を問われていると思う。特定の何らかのカラーを出すのは望ましくないと思う。これは業界に徐々に広がりつつあると思っている。
国の要望に対して流通は力を付けなくてはならない。
他の団体と連携重視
各業界団体との連携は重要だ。補助金制度や各省庁との関係。各制度を活用するための環境や課題。ビジネス優先ではいけない。
既存の団体で十分ではないかという意見、指摘も承知している。対立するつもりはなく、窓の産業として共に協力していきたいと考えている。他の団体と被って参加する企業は多いだろうし、連携していきたい。
国がカーボンニュートラルを打ち出す中で個々の企業ごとに温度差がある。準備ができているところまだ十分でないところがある。各社にとって努力義務ではなく、SDGS、カーボンニュートラルは既に社会から要望されている。これらに関する補助金などもあるが、奪い合いではなく皆が安心して将来設計を考えてどうやっていくのかを考えなくてはならない。
加盟のメリットは
組織でまとまることの強みは知識の共有、セミナーや、各社の連携・ネットワーク、コミュニケーションがある。仲間を増やすことでベクトルがはっきり表れる。
板ガラスメーカー、サッシメーカーには是非、参加していただきたい。ただ、各社それぞれの企業文化があるので、今はどうしようかと慎重に見極めているのだろう。一緒に行動することでカーボンニュートラルなどの目標に到達できるのではないかと思う。
今後、今までになかったことが当業界でも起きるだろう。そこの住宅に向けられている期待は大きい。シャッター、網戸、樹脂サッシなども住宅開口部に関わるものであり、参加を呼び掛けている。
アルミサッシはリサイクル、リユースまで考えるとCO2の排出量は多い訳ではない。こういった知見も深めていく。一律に樹脂でないとダメだという思考停止状態は避けなくてはならない。さまざまな意味で新しいスタンダードが生まれるだろう。
加入を期待する流通の総事業者数の3%を目指している。3%が加入すると全体が動き出す数値で、これを達成できれば加入に加速が付くと思う。現在700社だが、まず1000社に到達したい。
文化として根付かせる
リフォームについて、キッチン、トイレ、浴室・浴槽は消費者に「新しくなった」「きれいになった」「便利になった」というメリット、プラス面が分かりやすいし、アピールしやすい。それに対して窓は、ガラスが割れている訳でもないのに交換を勧めてもなかなか反応がないというのが現実だ。エンドユーザーへの説得力をつけないといけない。
クールビズは当初いろいろと批判されたが国民ひとりひとりの意識が高まり、根付き、我が国の文化に昇華した。窓、住宅開口部の熱の出入りに関することも文化として根付くことで新たな需要を生み出すと思っている。
窓の機能化は分かりにくい。節約・我慢する国民性のために、開口部をリフォームした時の効果の説明ができるかどうか。これなどエンドユーザーを説得する際の課題であり、業者のレベルを更に一段階上げる必要も出てくるだろう。
市場は当協会では13兆5000億円が開けているとみている。これをどれだけ取り込めるのか。大いに期待がある。