日本板硝子材料工学助成会 研究助成者による講演会 材料研究に新しい風を
2023.02.13
公益財団法人日本板硝子材料工学助成会(藤本勝司理事長)は1月27日、東京都港区六本木の泉ガーデンタワーで「第40回無機材料に関する最近の研究成果発表会」を開いた。今回は2019年(第41回)の研究助成者による講演が行われた。
冒頭、公益財団法人日本板硝子材料工学助成会の藤本勝司理事長が挨拶に立った。
講演は東京大学先端科学技術研究センターの岩本敏教授が「ENZ材料で拓くトポロジカルフォトニクスの可能性」、青山学院大学理工学部の黄晋二教授が「グラフェンを用いた透明アンテナ」、名古屋工業大学大学院工学研究科小幡亜希子准教授が「組織の再生を促す生体活性ガラスの開発」、神戸大学大学院理学研究科の内野隆司教授が「フラクタル構造を有する超電導複合化合物の位相コヒーレンス形成」の標題でそれぞれ約45分間にわたって講演した。
なお、北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科マテリアルサイエンス系の前之園信也教授は当日の天候悪化のために来場できなかった。また、新型コロナウイルス感染症対策のソーシャルディスタンス確保等のために懇親会は開かなかった。
藤本理事長のあいさつ
コロナ禍が始まって3年。その間、助成金贈呈は2年連続オンライン開催を余儀なくされたが無事開催できた。
まだ制約があるものの大学等の研究状況もコロナ前に近づいてきたと聞いている。将来の日本の発展のためにも我が国が強いといわれる材料分野で萌芽的・基礎的な研究の重要性が再認識されている。当財団でも国内、海外ともに無機材料を中心に研究助成の募集を行い多くの挑戦的な研究が応募されており、現在選考中だ。
当助成会は1979年に無機材料の学術と技術の発展を目的に設立した。現代にいたるまで基礎的研究から大きく発展したものも少なくない。
2022年までの累計で5580件の応募から1403件を選考し、総額18億円の助成金を贈呈した。ガラス、セラミックス、半導体等の無機材料を広く対象にしているが、近年は有機無機複合体やナノ技術を駆使した研究の応募が増加している。応用分野も多岐に渡っている。
海外の指定校を対象にした海外研究助成、日本開催の国際会議への支援や国内助成者を対象に海外渡航を含む成果普及の支援も行っている。
毎年、当助成会は成果報告書を刊行し、成果発表会を開いており、今年度は40回目の節目となる。
今日は、2019年度に助成金を贈呈した研究から「無機材料に関する最近の研究成果発表会~材料研究に新しい風を」と題し各々の研究成果を講演して頂く。
今回の講演は無機材料に係る独創的な研究成果であり、大きな研究。開発プロジェクトへ発展したものも多い。