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セントラル硝子プロダクツ 川瀬社長に聞く チームワークを重視するプレーイングマネージャー 構造改善はさらに進める!!

2024.09.23

川瀬将昭社長

 本年6月27日にセントラル硝子プロダクツ㈱(以下・CGP、本社=三重県)の社長に就任した川瀬将昭氏。入澤稔社長に次いで、同社2代目社長の就任となった。今回は東京都千代田区にあるセントラル硝子(以下CG:前田一彦社長)本社を訪ね、川瀬社長に社長就任の抱負を聞いてみた(この取材は、時報社と共同で行っています)。

 

川瀬社長は1966年生まれの現在58歳。東京都出身で日本大学理工学部を1988年に卒業し、同年にCGに入社、松阪、堺、宇部、東京と主に製造畑を経験し、2023年にCGPの専務に就任している。現在は松阪に自宅を構える。過去の経歴を聞くと、フロート窯、デュープレックス窯、型板窯、建築用・自動車用ガラス、鏡と製造のあらゆる部門を経験する製造のプロフェッショナルだ。対談中は、ワンマンタイプの社長ではなく、自身の弱点のところは「各部門のプロフェショナルに任せる」と語るなど、社員の意見を聞き入れながら事業を進めていく、チームワークを重視するプレイングマネージャータイプの社長だ。以下は川瀬社長とのインタビューの模様です。

 

――新会社が発足してまだ二年ですが、今回の社長交代の狙いは。

「CGPがスタートしたのは2年前ですが、事業開始は去年の4月からです。それまでは、CGの硝子部門としてやってきました。今回の交代の狙いは、会社は何らかの形で世代交代をしないといけません。このタイミングで社長を交代しなければならない理由は、特にはなかったですが、本たまたま時期が今年の春だったということです」

――社長交代の話は、新会社設立時点でありましたか。

「当然、どの会社でもどこかの時点で社長交代はあります。しかし、私が社長になるという話はありませんでした。当時、入澤社長の下には私を含め4人の役員(川瀬将昭専務取締役【製造担当】、川北泰三常務取締役【建築担当】、瀬古雅裕常務取締役【自動車担当】、岡村真一常務取締役【人事担当】)がいました。この中の誰かが次の社長になるだろうと普通に思っていましたし、状況によっては親会社から社長を出向させるということも選択肢にはあったのかなと思いました」

――そういう状況の中で、社長にご指名されたわけですが、その時の心境は?

「私自身としては経歴が製造部門で、経営、営業、経理的な面はこれまでの社長と同様にこなすことは難しいと認識しており、自分が社長になると考えた場合、自分らしいやり方で会社を引っ張っていきたいと思っています。私は1988年にCGに入社してから、ずっと製造技術に携わってきました。2019年に硝子企画部に異動となり、そこでガラス事業構造改善を任されることになりました。その時に、初めて東京に来たので、それまでCG本社勤務は経験したことはありませんでした」

――そこで初めて東京勤務ということは?

「経営との繋がりというものを私自身認識があまりないということになります。それで、過去の硝子企画部でのやり方を詳しく知らなく、私のやり方で構いませんかと当時のCG経営陣に確認しました。自分のやり方でやれば良い、との言葉をいただき、それで事業構造改善に取り組んだわけです。結局、自分で考えたことを自分でやりなさいということだと自覚して、松阪に移り製造部門をみてきました」

――前社長の入澤氏は目標として、ガラス事業を自立させることとおっしゃっていただきました。今はどのような?

「今の事業を止めることはできないし、今までのやり方は変化させていく必要があります。これをどのようにミックスしてやっていくのかが、私の取り組んできたところの話になります」

「いろいろなことに挑戦していく中で組織を離れていく人もいました。今回、社員はCGからCGPに出向ではなく転籍という形にしましたので、離れていく人はかなりいました」

――普通はやめないように引き止めますが……

「新しいことに挑戦できそうにないので現状にしがみ付いて何かをやるというよりは、残った人材を活かした方が良い、そこに私は賭けました。どうやったら乗り切れるかというのを前向きにやってきてくれた方が、今のCGPのそれぞれの部門の長にいるというのが現状です」

「後ろ向きに考えると大変ですが、構造改善をするのにいろいろなところを縮小しました。運用できなくなるというリスクはありましたが、そこに挑戦するという覚悟でやってきました。入澤前社長もこの少ない人数でやっていくしかないという覚悟でした。それで私も協力してきました」

「過去の人と同じようなことをやっていくというようなことではなく、自分でこういう理想に向かっていけばよいのだろうということだと思うので、社長という肩書を重荷に考えると言うよりはプレーイングマネージャー的な感覚で社長を受けました。自分が弱い部分は、それぞれの部門のプロがいるので、私自身は最終的な目的・目標を明確にし、責任を持って判断する。実行はプロに任せるというのが私のやり方です」

「生産部門でも一人できることはまずないです。35年間私は、工場では、気持ちよく業務をやってもらってきました。その思いが通じたのか、今回もかなりの人が付いてきてくれたと思っています」

「事業構造改善で、つくば工場を止めると決断した時も、海外からの撤退も含めた販売部門の縮小についても、いろいろ意見はありましたが、今までやってきたことがうまくいかなかったことから、結果このようになったのでしょうと発言しました。私は後輩たちにこのまま引き継ぐことはできない。整理するところは整理してきました。工場を閉めるのは悔しいと発言もしましたが、現実を考えると無理に深追いして、すべてを追いかけて中途半端になるより、一旦絞り込んだ事業を立ち直らせるほうが、強く戻ることができる。そのほうが良いのではないかというのが私の考えです」

「社長を言われたからには、やらないといけないし、誰かが責任を負わないといけない。それが偶然私だったと思っています」

――建築用ガラスと自動車用ガラスの比率は

「50対50ぐらいです。若干、売り上げ規模で言うなら自動車用の方が多いのかもわかりません。しかし、この比率が今後も維持されるとは限りません」

――窯を共通化することによって問題点は

「問題点や苦労はありますが、少なくとも余力をもって収益を上げていけるとか、今の時代はそういうことはないと思います」

「外部環境の変化に対する苦労はあります。しかし、製造というのはそれに対して一番コストを抑えながら現場が臨機応変に対応するというのは、人も設備もそうです。窯がいくつあっても同じような問題はあったので、苦労はないと言えばウソになりますが、苦労とはやるべきことだと思っています。ただ、販売部門には、苦労をかけていると思います」

――販売戦略としては、やはり採算性重視ですか

「採算性を重視するというのは、確かにそうなんですが、採算を重視した中で、何を会社としてやっていくのか、採算性を将来的に求めるのか、目先で求めるのかがあると思います。新規事業や新商品というのは最初から採算がとれるものではありません。2~3年先を考えて、やっておくべきものならやっていくべきだし、採算重視というのはそういう選択肢を考えながらやっていきます。中途半端にならずメリハリをつけながら進めていきます。今回の構造改善の中でも、長期にわたってやりつづけても採算のとれないものは、何か構造を変えていかなければならない。構造を変えて黒字化になるならそれを続ければよいというようなことで採算性をみています」

――設備投資については

 「維持管理の投資と新規商品に関する投資の二通りありますが、今は、新規事業及び新商品については去年、今年について、最小限の投資はしています。維持更新については、廃棄するのと更新するのとはっきり見極めて投資を行っています」

――ガラスのリサイクルについては

「市中に回っているものも含めて、ガラスの回収システムについては、以前より確立されていますので、それを拡充していくことを検討しています。今まで廃棄物になっていたものを回収するというのは大変なことですが、それを協力していただける企業を探して、回収率を上げていこうとしています。外から供給できれば、自然とリサイクル率は上がると思います」

――2023年3月期に比べると2024年度は増収増益です。

「そうですが、目標値には届いていません。人や設備の稼働率を上げたいと思っています」

――人の採用面では?

「採用は難しくなりました。今の学生さんは昔と違って求めているものが違います。ただ賃金が上がれば良いということではないです。そういう時代になっているので、インフラ整備を新しい会社になってやっていこうと思っています。また、女性も同じように働けるようにもっていかなければなりません。男女関係なく能力があれば権限を与えてやっていただきます」

「私は前社長のやり方を変えるつもりはありません。追加しているのは『環境』です。職場・地域・労務環境を改善していきたい。社員の要求に一歩ずつでも近づけようにインフラを整備していき、不満を取り除いていけば、人は集まると思います」

――お客様とは、面談されましたか。

「工場のことはすべて知っていますが、お客様とは、セントラル会の会合等で数回お会いしています。まだ名前を覚えてもらっている段階で、これからと言ったところです。これから機会を設けていろいろなお客様とお話させていただきたいと考えています」

――好きな言葉とかモットーとしていることがあれば教えて下さい。

「特に好きな言葉とかはありませんが、心がけていることは、冷静に物事を見ると言うことです。壁や課題があれば、現状を判断して、その方向性を示して皆でやっていけば良いと思っています。個人的には壁に当たるところを楽しむような性格です」

――趣味は。

「サッカー、ゴルフ、野球など、スポーツ全般で見るのもするのも大好きです。オリンピックはずっと見ていました」

――今回の構造改善の本気度はお客様にも伝わったと思います。最後に。

「構造改善はこれで終わりではありません。スタートを切ったところです。これからも進めていきたいと思っています」

――ありがとうございました。今後のご活躍を期待しています。

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