板硝子協会 カーボンニュートラルへのビジョン発表
2022.02.07
板硝子協会(清水正会長)は1月27日(木)、東京都港区の本部会議室で記者会見し、政府が目標に掲げる2050年カーボンニュートラル実現に向けた「板ガラス産業の2050年カーボンニュートラルへのビジョン2022」を発表。翌28日、協会HPで一般公開した。
「ビジョン2022」は同協会を構成するAGC、日本板硝子、セントラル硝子の会員3社の方針、意向を集約したもの。「今の段階(2022年)でできることをビジョンとして出した」(伊東弘之専務理事)とし、今後は技術の進展に応じ逐次改訂していくとしている。
カーボンニュートラルは、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出を正味ゼロにすること。2020年10月、当時の菅首相が「2050年までに実質ゼロにする」と宣言。21年4月には「2030年に温室効果ガスを46%削減することを目指す」と発表した。
板硝子協会は「この野心的な目標に板ガラス産業を挙げて挑戦していく強い意思を表明する」としてビジョンを策定した。
ビジョンは基本方針として①2050年カーボンニュートラルという国家的な課題に業界を挙げて挑戦する②提供する製品のライフサイクルでのGHG(Greenhouse Gas=温室効果ガス)削減を推進する―の2点を掲げた。
具体的な板ガラス産業の取り組みとしては、最初に「各個社において板ガラス製造の原燃料溶融プロセスでのCO2排出量削減を目指す」と発生源対策を強調。次に「例えばCCS(地中に埋めるといったCO2回収・貯留)やCCUS(CO2回収・有効利用・貯留)のようなCO2排出量削減効果が期待できる方策の検討を開始する」と「出てきたものを処理し削減する」(伊東氏)過程での研究課題を挙げた。
三つ目に「『エコガラスS』や『三層ガス入り複層ガラス』などの普及を加速するとともに、カーボンニュートラルの達成に必要な高性能ガラスの開発を推進する」と、主として家庭分野でのエネルギー消費を削減する事業活動を取り上げた。
説明に当たった伊東氏は「カーボンニュートラルは人類共通の課題と理解している。強い意思を持ち、(国の政策に)もろ手を挙げて協力する」と述べた。
一方、ビジョンは「政府目標は現在活用できる最先端のBAT(Best Available Technology=利用可能な最良の技術)を導入しても、到底達成できない極めて困難な目標」と指摘。その上で「会員3社は目標達成のためさらに技術革新を追求し、より革新的な技術の確立によりこの難局を打破すべく努力を続けていく」と訴えた。
板ガラス製品製造過程での革新的な技術開発・導入に関しては特に「水素への燃料転換」に言及し、「ガラス溶融工程のエネルギー源を重油や天然ガスといった化石燃料から水素に転換することで、大幅なCO2排出量の削減が期待できる」とアピール。また、溶融工程では既に一部の生産窯に導入された「全酸素燃焼技術」などBAT技術を展開するとした。
◇
経済産業省によると、2019年度の我が国のCO2総排出量は12億1300万トン(速報値、以下同じ)に上る。産業別にみると、1位は鉄鋼の1億5500万トン(全体の40%)、2位は化学の5600万トン(14%)、3位は機械製造の4200万トン(11%)で、この3業種で全体の65%を占める。
板ガラス産業は経団連主宰のカーボンニュートラル行動計画で「2020年度のCO2削減目標値を115万トン」と設定し既に目標を達成。伊東氏は「板ガラス産業の排出量は2016年度統計では全体の0.3%。影響度は大きくはないが、当産業としても安穏としてはいられない」とビジョンの背景をこう述べた。
「ビジョン2022」は同協会を構成するAGC、日本板硝子、セントラル硝子の会員3社の方針、意向を集約したもの。「今の段階(2022年)でできることをビジョンとして出した」(伊東弘之専務理事)とし、今後は技術の進展に応じ逐次改訂していくとしている。
カーボンニュートラルは、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出を正味ゼロにすること。2020年10月、当時の菅首相が「2050年までに実質ゼロにする」と宣言。21年4月には「2030年に温室効果ガスを46%削減することを目指す」と発表した。
板硝子協会は「この野心的な目標に板ガラス産業を挙げて挑戦していく強い意思を表明する」としてビジョンを策定した。
ビジョンは基本方針として①2050年カーボンニュートラルという国家的な課題に業界を挙げて挑戦する②提供する製品のライフサイクルでのGHG(Greenhouse Gas=温室効果ガス)削減を推進する―の2点を掲げた。
具体的な板ガラス産業の取り組みとしては、最初に「各個社において板ガラス製造の原燃料溶融プロセスでのCO2排出量削減を目指す」と発生源対策を強調。次に「例えばCCS(地中に埋めるといったCO2回収・貯留)やCCUS(CO2回収・有効利用・貯留)のようなCO2排出量削減効果が期待できる方策の検討を開始する」と「出てきたものを処理し削減する」(伊東氏)過程での研究課題を挙げた。
三つ目に「『エコガラスS』や『三層ガス入り複層ガラス』などの普及を加速するとともに、カーボンニュートラルの達成に必要な高性能ガラスの開発を推進する」と、主として家庭分野でのエネルギー消費を削減する事業活動を取り上げた。
説明に当たった伊東氏は「カーボンニュートラルは人類共通の課題と理解している。強い意思を持ち、(国の政策に)もろ手を挙げて協力する」と述べた。
一方、ビジョンは「政府目標は現在活用できる最先端のBAT(Best Available Technology=利用可能な最良の技術)を導入しても、到底達成できない極めて困難な目標」と指摘。その上で「会員3社は目標達成のためさらに技術革新を追求し、より革新的な技術の確立によりこの難局を打破すべく努力を続けていく」と訴えた。
板ガラス製品製造過程での革新的な技術開発・導入に関しては特に「水素への燃料転換」に言及し、「ガラス溶融工程のエネルギー源を重油や天然ガスといった化石燃料から水素に転換することで、大幅なCO2排出量の削減が期待できる」とアピール。また、溶融工程では既に一部の生産窯に導入された「全酸素燃焼技術」などBAT技術を展開するとした。
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経済産業省によると、2019年度の我が国のCO2総排出量は12億1300万トン(速報値、以下同じ)に上る。産業別にみると、1位は鉄鋼の1億5500万トン(全体の40%)、2位は化学の5600万トン(14%)、3位は機械製造の4200万トン(11%)で、この3業種で全体の65%を占める。
板ガラス産業は経団連主宰のカーボンニュートラル行動計画で「2020年度のCO2削減目標値を115万トン」と設定し既に目標を達成。伊東氏は「板ガラス産業の排出量は2016年度統計では全体の0.3%。影響度は大きくはないが、当産業としても安穏としてはいられない」とビジョンの背景をこう述べた。