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叙勲受章インタビュー・谷村公二氏

2023.07.10

谷村公二氏
賞状と勲功旌章(勲章)
谷村氏(右)と千賀子夫人

 令和5年「春の叙勲」において、大阪府鏡工業協同組合副理事長でナニワ鏡工業㈱(大阪市生野区)代表取締役社長の谷村公二氏が旭日単光章を受章した。

 今回の受章は、大阪府鏡工業協同組合が申請し、経済産業省推薦分(中小企業振興)として受章したもので、同組合の申請による組合員の受章は初となる。

 今回、谷村副理事長と、夫人で同社専務取締役の谷村千賀子さんに喜びの声を伺った(以下、敬称略)。

     ◇

 ―ご受章おめでとうございます。初めに、ご受章の経緯をお聞かせください―

 谷村 受章は青天の霹靂で、まったく予想外の事でした。大阪鏡組合は叙勲の申請をする資格がありませんでした。4~5年前に叙勲の申請をしないか?との打診はあったものの、断っていました。しかし、今回改めて打診があったので、やってみようということになりました。ただ、内心では(申請が)通ることは無いかなと思っていました。実際に動き始めると、やはり鏡組合には資格が無いことが分かりました。そこで組合が資格を取る事と、私の申請の作業を同時並行で進めました。理事長、事務局長と3人で、今までの功績・実績をまとめ、大阪府や大阪経済にどれだけ貢献したか、といった書類を提出しました。また、私が生まれてからの戸籍謄本や住民票などの提出も求められました。

 ―今回ご受章された功績を、ご自身では何が大きかったとお考えですか?―

 谷村 産業功労の府知事表彰を受けていることは、関係していると思います。このほかにも、セラミックスの業界から頂いた賞状や、全日本交通安全の交通栄誉章「緑十字銀章」などを受章していたことが評価されたのではないかと考えています。これらの賞状は、事務局経由で書類と一緒に提出しました。提出した書類は、国の審査にかけられて通過しました。3月中旬に内定の通知が来て、4月18日の夕方に国会議員から閣議決定したとの連絡が入り、確定になりました。

 ―伝達式などの式典にはご出席されたのですか?―

 谷村 残念ながら、健康上の理由もあって欠席しました。

 ―改めて、受章されてどのようなお気持ちでしょうか?―

 谷村 青天の霹靂ですが、実際に受章したのは私だけでなく、私を52年間支えてくれた板ガラス・鏡業界の皆さん、会社で働く社員の皆さん、私にまつわる様々な方々のおかげで頂けたものと思っています。

 ―業界にとっても明るい話題です。今後はどのようにお考えですか?―

 谷村 「願わくば、この心身を捧げて、己が技に勤しみ、誓って四恩(※)に報い奉らん」といった気持ちです。私自身はただ受章しただけです。今後は自分の本業に励み、父母、業界の皆さん、ご支援いただいた皆さん、恵みを与えてくださった天と地に、ご恩返しをしなければならないと感じております。

 ―次の世代につながる様になって行けば良いですね―

 谷村 大阪鏡組合が叙勲の推薦をできるようになったことは喜ばしく思います。次世代の人たちへ続くものを、理事長と事務局長と一緒に作れたのであれば、頑張った甲斐がありました。鏡組合の位置づけ、地位の向上にも繋がったと思います。次世代の人にも続いて頂きたいと思います。

 ―大阪鏡組合としても、格が一つ上がったのではないでしょうか?―

 谷村 今まで、11月11日の鏡の日に地元の小学校に鏡の寄贈を行なっていたことなども、今回全て提出しました。組合にどういう実績があるか、知って貰えたと思っています。

 ―ここで、同席頂いている夫人の千賀子さんにもお話を伺います。今回、業界にも組合にも明るい話題でした。ご受章のご感想などをお教えください。

 千賀子 皆様のおかげで、頂いて良いのかしらと思うくらいのものを、受章させて頂きました。欲しいからと言って頂けるものではないので、有難く思っています。

 ―皇居に行きたかったとお思いではないですか?―

 千賀子 もう少し元気な時ならよかったのですが、残念ながらという所です。

 谷村 私の具合の悪さもあったので、タイミング的に東京まで行くのは難しかったと思います。

 ―最後に、これからに向けて一言お願いします―

 谷村 鏡業界は、ガラスの業界の中でも小さい部分です。鏡組合もかつては70社以上ありましたが、今では36社と半分近くになりました。薄物、小物の鏡は壊滅状態です。こうした中を、業種は変えずとも業態を変えて生き残ってきました。しかし、また次の波が来るでしょう。そうした中で歴史に学びながら知恵を出していかなければと思っています。

 ―貴重なお話をありがとうございました。改めてご受章おめでとうございます。これからも、後に続く皆さんのために、お知恵を貸して頂きたく思います―

 (※四恩[しおん]=仏教用語。父母の恩、衆生の恩〈友・親戚・同僚の恩〉、国王の恩〈国家・会社の恩〉、三宝の恩〈仏・法・僧の恩〉を意味する)

     ◇

 谷村公二氏。1944年(昭和19年)11月30日生まれの78歳。1972年に千賀子夫人と結婚、同年ナニワ鏡工業㈱に入社。1979年に専務取締役、1987年代表取締役社長に就任。1998年(平成10年)大阪府鏡工業協同組合監事、2000年同組合副理事長に就任し現在に至る。

 座右の銘は『三方よし』

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